善い数学書が滅多にない。また善い数学の授業や講義も滅多にない。定義通りにやったり厳密な証明をやったりするぶんには構わないが、しかしそこに重きを置き過ぎるあまり数学のアイデアを見失っているようでは本末転倒である。数学書にしても授業にしてもそうであるが「厳密に一歩一歩確実に」という流儀が重視されている。ところがそれで身についているのものはなんだろうか。証明を暗記する能力かはたまた証明をコピペする能力か・・・。ブルバキが当時の解析学の教科書に呆れて自分たちで教科書を書き始めたように私も厳密性に頼り切っている現代の数学の風潮に呆れたので何か書き始めようと思ったのだ。